馬場正尊著『あしたの風景を探しに』(どく社)
那須ミノルが、馬場正尊著『あしたの風景を探しに』(2024年、どく社)の共同編集を担当しました。

旅するように仕事する、をつづけてきた建築家、馬場正尊20余年のエッセイ集。じつは編集者であり、インタビュアーであり、企画書のような本をいくつも書いてきた人であり、実験者でもあり……という多面的仕事人である馬場正尊は、いかなる道を歩んで現在の姿に至るのか。その人生の旅をなぞるような一冊となっています。
はじめてであろうと、経験がなかろうと、とりあえずはやってみる。手探りでやってみながら、ちいさな経験を手に入れてフィードバックして軌道修正して前に進んでは、次なる道をひらいていく。そんな方法論であたらしい領域を開拓しつづけてきひと、という印象があります。多少の失敗はヨシとするという「明るいひらきなおりの構え」を最初からもっているひと、という気もします。
この『あしたの風景を探しに』という本は、馬場が世の中に提案してきた10のキーワードによって構成されています。けれどじつは、この10のキーワードではうまくカテゴライズされないコラム、というのがいくつか(いくつも)ありまして、案外この「どこにもカテゴライズされないテキストたち」がこの本の隠れた主役たちである、という面があるように思います。
旅の合間の日記のようなもの、日常のなかでふと出会ってしまった偶然のなにかのこと、展示や書籍との出会いとそこから得た発見のようなもの……。言ってしまえば、馬場がこれまで本に仕上げてきた企画書的内容からはちょっと離れた、というか、そこには拾われることなく、馬場が歩いてきた道端にポツポツとこぼれ落ちたままになっていた、みたいな路傍のテキストたち、それらをいかに紛れ込ませて本のなかに拾い上げることで成仏させてあげられるか、みたいなことを著者・馬場正尊ととともにやろうとしたのかもしれない、というように編集者的立場から振り返る次第です。いい本です。読んでください。
Text 那須ミノル